練馬区 K様
相続手続きには被相続人の出生に遡る戸籍が、戸籍の改正や転籍の関係でかなりの量必要になってきます。本籍地に問い合わせて、何通も準備するのは大変でした。法務局には「法定相続情報証明制度」ができました。これは、被相続人を中心に相続関係人を一覧図にまとめて、法務局に大量の戸籍の束をつけて提出し、相続手続用の証明書にしてもらう制度です。手続きをすべき法務局、銀行の数だけ証明書を発行してくれますので、一度に手続きを済ませられ、個々の手続きごとに戸籍謄本を添付しなくてよい制度です。
練馬区 H様
お亡くなりになられたご主人様の引き出しから、大きく「遺言書」と書かれており封印された封筒が見つかりました。奥様がこれを見つけられたとき、何の疑いもなく開封して中を見ようとしたのを、娘さんが止め、ご連絡いただきました。公正証書遺言は公証役場に原本が保管されますが、それ以外の遺言書は 発見されたら、別の人による偽造変造等がないかを裁判所に確認してもらう手続き(検認手続きといいます。)が必要です。誤って開封しても、遺言書の効力がなくなるわけではありませんが、5万円以下の過料が科せられますので注意が必要です。また、検認手続きをしていない遺言書(公正証書遺言以外)では、不動産の登記などの相続手続きにも使えません。 自宅等にしまっておくだけの自筆証書遺言書は発見されなかったり、改竄される可能性も否定できません。そこで、2020年7月10日からは 自筆証書遺言の法務局による保管制度が始まります。
豊島区 I様
お母さま亡き後、お父様の身の回りをずっと面倒見てきた I様。ご自身の家族に無理を言い、近くに住むのでということで、最後まで介護を引き受け看取りまでなさいました。お父様が亡くなると、いままでお父様の介護を全く手伝わなかった兄弟たちが、均等に財産を分けるよう要求してきました。このような場合に I様の献身に酬いる制度が「寄与分」です。これはお父様の相続財産から寄与分に該当する分を別枠にして、寄与された方にお渡しする制度です。
北区 A様
人生100年時代。配偶者をなくしてから再婚なさる方も増えています。A様は50歳台でご主人をなくされ、その後紹介された一回り年上の男性と再婚しました。先方には子供が2人いらっしゃいましたし、どちらも高齢だということで、籍は入れずに暮らしています。外見上は普通の夫婦でありながら、戸籍上の届け出がなされていないため、法律上は婚姻関係にない事実婚です。子供や孫たちの反応を考えたり、その他周囲の関係者の理解を得るのが難しい方などは、あえて戸籍は入れなくていい、と判断される方も増えている様です。ただ、事実婚ではお互い相続権が無いことは 認識しておく必要があるでしょう。お互いのために財産を残すためには遺言書を作成して「遺贈」をするしか方法がありません。また、相続税の基礎控除、配偶者控除の有無など、通常の相続とはかなり異なる税法上の取り扱いがなされることも考慮しなければなりません。また 民法改正で、配偶者居住権が作られますが、これも法律上の婚姻を前提にしたものです。
練馬区 U様
独身で働いてきたU様は、何くれとなく親しく交流して自分の面倒を見てくれた友人に ご自分の全財産を残したいとお考えでした。公正証書遺言を作成して、万一の時は自分の財産をその友人に遺贈することにいたしました。このような遺言書を作成するとき、必ず定めておきたいのは遺言執行者です。なぜなら、遺言執行者がいない場合、他の相続人全員がその友人ために協力してくれないとスムーズな処理ができないからです。相続人の皆さんは、U様の気持ちはご理解なさっているそうですが、いざとなったら分からないものです。こうした場合、遺言執行者を決めておくと 遺言の確実に執行されます。
練馬区 S様
無口で穏やかなS様は仕事は丁寧で、決して手を抜かず、元請けの工事会社からの信頼も厚い職人さんです。 ご自身は自営でやっている電気工事店を大きくしようとは 特に思っていませんでした。ところが受注先から、建設業許可を取って登録するよう言われてご相談にいらっしゃいました。これまで地道にやってきていたので、電気工事業許可は 順調に取得できました。許可業者の看板を店舗にかけると責任感が違うとおっしゃっていました。
所沢市 N様
成年後見制度は「法定後見制度」と「任意後見制度」の二種類があります。まだまだしっかりされていているものの90歳台になり、いろいろ不安を感じ始めたN様。成年後見制度につき考えていらっしゃいました。 具体的にご説明すると、第三者に財産管理をされる可能性がある法定後見は避け、ご自分が信頼している人に任せる任意後見を考えてみたいとのことでした。任意後見契約書の作成も、公証役場が用意するひな形を利用できるので安心されていました。
練馬区S様
3姉弟で不動産を相続しました。みなそれぞれ遠隔地に住んでいるので、その不動産は売却して、売却代金を平等に分けることにしました。また、売却手続きに3人が集まるのは大変なので、不動産近くに住んでいる姉の名義にして売却を一任することも決めました。ここで注意が必要なのは、遺産分割協議書に、姉に相続させるのは売却手続きのためであること、売却代金は等分に分けることが明記されているかです。これが記入されてないと姉から弟たちへの売却代金の贈与とみなされて、贈与課税されてしまいますので注意が必要です。
和光市 T様
亡きお父様の名義になっているご実家の土地と建物を相続されたT様。T様は 都内にご自宅をお持ちで、思い出の詰まったこの実家を相続してもここで暮らすことは考えられません。ゆくゆくは売却を検討することになるとのことでした。この場合に 相続登記を省略して売却できないかとのご質問。このような場合でも土地の相続登記は省略することはできません。T様が所有権の登記名義を取得して初めて売主になれるからです。ただし、建物は相続人から取り壊しの登記(建物滅失登記)を申請することができますので、建物を取り壊して土地だけを売却するような場合は、建物についてはあえて相続登記をする必要はありません。相続人がほかにもいる中で、遺産分割協議によってT様がご実家を相続された場合は 不動産という大きな財産ですので、後々の紛争を予防する意味でも、速やかに相続登記を入れることをお勧めします。
練馬区 Y様
便箋に「遺言書」とタイトルを書いて「全財産を長男の〇〇に譲ります」とのみ記載されたものがみつかりました。日付、署名も手書きしてあり、押印もありますので、自筆証書遺言の形式は備えています。相続人は配偶者の方とご長男さんの2人だけなので、揉めることもありません。ただこれで不動産の相続登記が出来るかどうか少々不安はありました。とにかく裁判所の検認手続きを済ませて、管轄の法務局へご長男さんは相談に行きました。法務局のご担当者さんは「これで相続を原因とした登記はお受けします」と言っていただけました。法務局は、なるべく遺言者の意思を実現できるよう、柔軟な対処をしてくださるようですが、いつもこのようにいくとは限りません。遺言書の文言は注意して選びたいものです。