練馬区 U様
東南アジア出身のU様は、日本人の夫と結婚し25年近く日本で暮らしていますが、日本国籍は取っていません。国には兄弟が残っていますが、両親はすでに亡くなっています。 今年になってU様のお子様が、アメリカに留学されることになりました。 U様ご自身もこの機会に、渡米をしたいというご相談でした。日本の発行するパスポートは、アメリカに90日以内でしたらビザ免除ですが、あいにくU様のパスポートは アメリカ入国に際してビザを取る必要があります。その手続きをご説明していくうちに、U様も、日本での生活が長くなり子供たちもいることから、できれば日本国籍を取得したいと希望されました。外国人配偶者の場合は、永住者ビザもあります。また国籍取得のためには 本国から取り寄せる書類なども多々あり、時間をかけて取り組むことになります。
中野区 S様
S様のお父様がご高齢で亡くなり、お母様も一人暮らしは困難という事で、ホームに入居することになりました。そこで ご両親の住んでいたご実家が 空家になるので、この際手放そうという方向で、相続人の間で話し合いがまとまりました。そこで、この件を地主に相談したら、相続に関する名義書き換え料で、高額を要求され困っています。というご相談です。
借地権については 昭和20年代、30年代から借りているという方で契約書がないという方もいます。 また その地域の不動産慣行によっても、違ってくる場合が多くあります。また地主の側も世代交代していて、関係が薄くなっていることもあります。じっくり相談しながら進めましょう。
豊島区 I様
シングルマザーでお子様を育てていたI様。この度、ご縁があって再婚なさいました。お子様も新しいお父様が大好きで、幸せな新生活が始まりました。でもI様と新しい旦那様とが婚姻届けを出しただけでは、お父様とお子様の間は親子関係がなく、全くの他人のままです。将来、旦那様に万が一のことがあった場合、お子様に相続権はありません。このような場合は、新しいお父様とお子様との間で養子縁組をすれば法律上の親子となり相続人となることが出来ます。特に未成年の子連れの再婚の場合は 再婚と養子縁組はセットで考えておくのがよろしい場合が多いようです。
和光市 H様
お亡くなりになられた方が遺贈や生前贈与をしていたために、本来相続することが出来たはずの人が全く相続できなくなったり、ある一定の限度を超えて相続分が少なくなったりした場合、せめてそのある一定の限度を満たすまでは戻してほしいと請求することが出来る権利を「遺留分減殺請求」といいます。この権利は兄弟姉妹以外の相続人に認められた権利です。
しかし一度財産が動いてから、これを覆すことは、法的安定性を崩すことになります。そこで、遺留分が侵害された場合の請求先の順番が決められています。もし遺留分侵害の原因が「遺贈」と「贈与」であった場合、遺贈に対して請求してみて、なお不足が満たされないときに、贈与に対して請求することができるという順番に関する決まりです。お亡くなりになられた方の単独の意思表示である「遺贈」は、お亡くなりになられたときにはじめて効力が生じるので、遺贈によって財産が動いてもあまり時間は経っておらず、これを後から覆しても法的安定性を損なう度合いはやや低いと言えます。それに対し「贈与」は契約ですから、贈与者と受贈者を法的に拘束しているので、遺贈よりは減殺請求に対し守られるべきと考えています。また、原則お亡くなりになった方が1年以上前になさった贈与には、もはや減殺請求ができないことにもなっております。
なお、遺留分減殺請求の法的性質については、2019年の7月からに大きく改正されます。現在は遺留分減殺請求がなされると、目的物が不動産の所有権であれば当然に「共有関係」になるのですが、改正後は遺留分減殺請求によって生ずる権利は「金銭債権」となります。複雑な共有関係の発生を避けて事業承継等がスムーズにいくことを目指しています。
練馬区 M様
祖母が亡くなったので、祖母と母親が2分の1ずつ共有していた不動産の相続による名義変更をしたいとのことでM様がご相談にみえました。もともとは祖父が所有していた不動産を、配偶者である祖母と一人娘である母親が法定相続にて相続したものだそうです。母親はすでに祖母より前に亡くなっております。母親の相続人はM様だけなので、母親の持分については子として相続し、祖母の持分については先に亡くなった母の代襲相続人として相続するものだとM様考えておいででした。ところが、戸籍を調べてゆくと、予想外の事実に突き当たりました。M様の母親は離婚した前妻との間にできた子で、後妻である祖母は祖父と婚姻するに際して、M様の母親と養子縁組などの親子関係を創設する手続きは何も取っていなかったのです。また、後妻である祖母と祖父との間には子供がいなかったので、祖母の相続人は祖母の兄弟姉妹かその甥姪による代襲相続人ということになります。母親の持分を相続する人と、祖母の持分を相続する人は完全に二つの血筋に分断されてしまいました。祖母が母の継母であることはM様も御存知でしたが、普通に祖母と孫のお付き合いがあったため、相続関係にいないとは思っていなかったそうです。このままでは M様は面識もない祖母の血筋の甥姪と不動産を共有することになります。最終的な相続人が確定したら、持分放棄や持分の売買等で、どちらかの血筋で統一することを提案してゆくことになると思います。
板橋区 W様
被相続人が残した遺言書の内容に納得できない場合、相続人はこれと異なる遺産分割協議ができるかとの問題があります。相続人が兄弟姉妹以外の場合は、最低限守られる相続分、つまり遺留分があるわけですが、ご相談にいらしたW様のお父様の遺言は、遺留分権利者がいるにも関わらず相続人の一人であるご長男にすべて相続させるという内容だったのです。遺言者の最後の意思である遺言は極力尊重すべきですが、そのために親兄弟が生涯いがみ合うようなことになっては大変です。結局、遺言書の内容を尊重しつつも、相続人全員が納得できる内容の協議を成立させました。緊急にお母様と同居して介護に当たられていたW様の住まいや当座の生活費は確保できました。本事例では遺言執行者の選任もされていましたが、遺言と異なる遺産分割協議ができないという事ではありません。
練馬区 Y様
Y様が父親名義の自宅を相続し、ご自分で相続による登記名義の変更をなさったのは10数年前のことでした。相続登記に必要な父親の出生に遡る戸籍の収取に、転籍が多かったため大変苦労なさったそうです。ところがその手続きの時、近隣の人たちと共有していた私道の持ち分の名義変更をもらしていたことに最近気づきました。
私道は他の方と共有であり、自宅前ではなく私道全体の入り口部分に飛び地のようにあったので、相続登記からもらしてしまうことがあるようです。できることなら市区町村の固定資産税課で「名寄帳」を確認された方が、このような見落としは避けられると思います。
Y様としては、道路部分は面積も小さく、たいした価値もない土地なので、また面倒な戸籍集めをするくらいなら、このまま父親名義のまま放っておいてもよいと思っておいででした。でも相続登記に必要な戸籍謄本等には有効期限がありません。戸籍の記載事項は書き足されることはあっても、過去に記載された事項に変更は無いからです。幸い10年ほど前に使用した戸籍謄本の原本は全て保存しておいででしたので、それをそのまま使って道路の持ち分の名義変更を済ませました。 私道の権利を的確に持っていないと、不動産の売買などの時に不利益が生ずることがあります。
豊島区 S様
自筆証書遺言を作成したものの、その保管場所はどうすべきか悩ましいところです。遺言をするということは、法定相続分とは異なる形で財産分割を指示するということで、相続人間に大なり小なりの「損得」が発生します。誰でもわかるところに保管すると、内容に不満を持つ相続人に捨てられてしまったり、厳格に隠すとだれも遺言書の存在を知らないまま、遺言者の意思に反する処理がなされることもあり得ます。こればかりはこうすれば安全という答えはありません。その点、公正証書遺言はその原本を公証役場で保管してもらえるので安心です。また、被相続人が公正証書遺言を残しているかどうかも、被相続人がお亡くなりになった後なら、日本全国どこの公証役場でも調べることが出来ます。ちなみに、2020年7月以降、法務局で自筆証書遺言を補完する制度が始まります。
田無市 A様
生涯独身で仕事をしてきた女性が養子を迎えました。Aさんはその養子の長男です。不幸にもその養子の方は養親である女性より先に亡くなってしまいました。Aさんは、その後も女性の家に同居し療養看護に努め、その女性が亡くなるまで、家族同様に看て、葬儀まで終えました。Aさんとその女性が暮らしていたのはその女性名義の一軒家で、Aさんはできることなら、今後もそこに住みたいとご希望なさっておりました。ところが、Aさんがお生まれになったのは、女性がAさんの親である養子を迎える前。養子縁組前の子には相続権(代襲相続権)がありません。女性とAさんが養子縁組をするか、女性が生前にAさんに遺贈するとする遺言を残していてくれたらこんなことにはなりませんでした。
さいたま市 U様
U様は90歳代でかくしゃくとしていらっしゃいます。自筆証書遺言書を書きたいというご相談でした。お二人のお子様はそれぞれ持ち家があり、それなりに安定した生活をしているので、自分の家屋敷の不動産は 死後売却して、その代金を7人の孫に均等に分けたいというものでした。近年は少子高齢社会で、祖父母の財産を孫に残したいというお声を聴きます。ただ注意しておきたいのは お子さんがご存命の場合、孫は相続人ではありませんので、遺贈を受ける事になります。また 遺言執行を確実にするためにも、遺言執行人も定めておく方が良いでしょう。